目次
熱中症予防で注意すべき水分摂取 〜ペットボトル症候群に要注意〜
特に気温が高くなる夏場は、熱中症予防のためにこまめな水分補給を行うよう心掛ける人が多くなります。それは正しい対応である反面、飲料の種類によっては、予想以上に糖分や塩分が含まれていることがあります。
飲み物を摂取する際に注意が必要なのが、いわゆる「ペットボトル症候群」です。今月は、清涼飲料水を摂取するうえでの健康上の注意点について紹介します。正しい水分補給で、健康な体を作りましょう。
ペットボトル症候群とは?
砂糖入りの飲料を飲むと、糖分が急速に吸収されて血糖値が上がります。高血糖は体内の浸透圧上昇を介して喉が渇くきっかけになり、さらに砂糖入り飲料を飲みたくなる・・・という悪循環に入ります。その結果、著しい高血糖(=重度の糖尿病)が原因で意識障害や命の危険を伴う危険な状態に陥ることがあり、これを「ペットボトル症候群」と呼びます。
特に血糖値が高めの方は、「喉が渇いたから」「熱中症を予防したいから」といった理由でスポーツドリンクなどの砂糖入り飲料を多飲することは絶対にやめましょう。
「カロリーゼロ」飲料にも要注意!
カロリーゼロの清涼飲料水でも、将来の糖尿病リスクが高まることが報告されています。砂糖の代わりに含まれている人工甘味料を摂取すると「甘みを感じるのに血糖値が上昇しない」状態に脳が混乱し、むしろ食欲が刺激されてしまうからではないかと考えられています。なお、カロリーゼロとは「100mlあたり5kcal未満」のことであり、カロリーが全くないとは限りません。清涼飲料水を飲む際には、成分表示の「炭水化物(=糖分)」の量を必ず確認しましょう。普段から砂糖入り飲料を飲む習慣がある方は、水やお茶(麦茶・ほうじ茶・緑茶など)に代えてみましょう。
飲料に含まれる糖分量
熱中症予防で推奨されることが多い飲料としてスポーツドリンクがあります。健康的なイメージのあるスポーツドリンクですが、実は500mlあたりに20gを超える糖分を含むものが多く、医学的には「砂糖入り飲料」に分類されます。スティックシュガーに含まれる砂糖が一本当たり3〜4gであることと比較すると、スポーツドリンクに大量の糖分が含まれていることが分かると思います。また、100% フルーツジュースも糖尿病や心血管疾患の発症リスクを高めることが米国の大規模研究で明らかになっています。フルーツジュースも健康的なイメージが先行していますが、飲み過ぎには注意が必要です。
上手な水分補給とは
熱中症が疑われるときの対処法として、こまめな水分補給が挙げられます。水分補給は大切なことですが、水分だけを補給しているとかえって症状を悪化させることもあるので注意が必要です。
水分補給が熱中症の悪化につながることも!?
高温多湿の屋内外で30分を超える長時間の労働やスポーツなどにより汗を大量にかくと、体内の水分とともに塩分やミネラルも奪われてしまいます。そこに水分補給だけを行うと、血液中の塩分・ミネラル濃度(体内における塩分やミネラルの割合)が低くなり、様々な熱中症の症状が出現します。
熱中症時の水分と塩分の補給の仕方
熱中症が疑われるときは、ただ水分を補給するのではなく、塩分も一緒に補給することが重要です。自分で手軽に作れる食塩水もよいでしょう。
目安として、1ℓの水に対して1〜2gの食塩を加えます。さらに、長時間のスポーツなどで失われた糖分を補い、エネルギーを補給するために砂糖などを加えると、水分や塩分の吸収が良くなる上に、疲労回復にもつながるのでより効果的です。手早く塩分・糖分を一緒に補給できるスポーツドリンクなどによる水分補給もおすすめです。ただし、カフェインの入った飲み物は利尿作用が強くなるので避けましょう。
ここがポイント!
- 熱中症のときには、上手な水分・塩分補給がポイントです。
- 水分だけでなく塩分も補給することで、症状の改善が期待できます。
- 塩分の補給には、塩分を含む飴・タブレットや梅干しなどもよいでしょう。
院長メッセージ
「ヘルシーそうに見える」スポーツドリンクや果汁100%のジュースにも多くの糖分が含まれており、脱水予防やエネルギー補給のために水の代わりに多量にスポーツドリンクを摂取することの危険性について注意喚起が必要です。スポーツドリンク500ml中には20g(角砂糖5〜6個)以上の糖分が含まれており、熱中症対策としてスポーツドリンクを多飲することからペットボトル症候群のリスクが高まります。
通常の日常生活での水分補給は、基本に立ち返るとやはり「水」や「お茶」が最もよいと思われます。
記事監修
せんだい総合健診クリニック院長 石垣 洋子
1981年 聖マリアンナ医科大学 医学部卒業
1981年 同大腫瘍学教室
1986年 財団法人宮城県労働衛生医学協会
2003年 医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック
2004年 ソフィア健診クリニック院長
2010年 せんだい総合健診クリニック院長 現在に至る