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夏に気をつけたい感染症
長い梅雨が明ければ、いよいよ本格的な夏の始まりです。この時期は、いわゆる夏風邪や食中毒が流行します。
例年6〜8月は高温多湿の環境を好む細菌やウイルスによる「食中毒」や、子供を中心に「夏風邪」が流行します。夏は厳しい暑さから睡眠不足や食欲不振が続き免疫力が低下するためです。コロナ禍以降、手洗いなどの感染対策が身についた私たちですが、だからこそ今気を付けたい食中毒や夏風邪の症状や予防法を紹介します。
感染と感染症
感染とは、病原体(細菌やウイルスなど)が体の中に入り込み、増えることを言います。そのまま病原体が消えていくこともあれば、人の体に影響を与えることなく共存し続ける場合もあります。
感染症とは、体内で病原体の数が増え臓器や組織を破壊し始めて、体に様々な症状が生じた状態を言います。感染症を発症するかどうかは、病原体の感染力と体の抵抗力(免疫力)とのバランスで決まります。
感染症を防御するためには、感染源を断つ・感染経路を断つ・免疫力を強化することが大切です。感染源を断つことはなかなか難しいので、他の2つが特に重要になってきます。
細菌とウイルスの違い
ウイルスと細菌は全くの別物です。細菌は単細胞であり、栄養分や温度などの条件が合えば自分の力で増殖します。ウイルスは生物の細胞に入り、その中で細胞の機能や構造に依存して増殖します。両者の違いを表にまとめました。
| ウイルス | 細菌 | |
|---|---|---|
| 生物なの? | 生物と非生物の中間 | 生物 |
| どうやって増えるの? | 細胞の仕組みを使う必要がある | 栄養さえあれば単独で増える |
| 予防は? | ワクチンなど インフルエンザワクチンなど | ワクチンなど 肺炎球菌ワクチンなど |
| 治療は? | 抗ウイルス薬や中和抗体薬など オセルタミビルなど | 抗菌薬など ベンジルペニシリンなど |
三大夏風邪に要注意!
夏になると子供を中心に患者数が増える感染症が手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜炎です。夏は厳しい暑さから食欲不振が続き、体調を崩しやすくなります。例年6〜8月に流行がピークになるので、特徴や注意点を確認し、備えましょう。
3大夏風邪の特徴
※国立感染症研究所の資料を基に作成
| ヘルパンギーナ | 咽頭結膜熱 | 手足口病 | |
|---|---|---|---|
| 流行期間 | 5〜8月 | 6〜8月 | 主に6〜9月 |
| 主な病原体 | エンテロウイルス | アデノウイルス | エンテロウイルス |
| 症状 | 発熱(38〜40℃)に始まり、口の奥に1〜2ミリの水疱ができる。2〜4日で熱は治まり、その後に発疹も消える | 発熱に始まり、頭痛、食欲不振、倦怠感、のどの痛みが生じる。結膜炎に伴う充血や痛みが3〜5日続く | 口内、手の平、足の裏などに2〜3ミリの水疱ができる。3〜7日で消える。3分の1ほどの患者に38℃以下の発熱 |
| 注意点 | まれに髄膜炎、急性心筋炎などの合併症 | 新生児は重症化することがある | まれに髄膜炎、脳炎などの合併症 |
食中毒予防3原則
食中毒は、原因となる細菌やウイルスが食べ物に付着し、体内へ侵入することによって発生します。予防3原則のポイントを理解し、食中毒を予防しましょう。
原則①「つけない」(清潔保持)
- 調理前に必ず手を洗い、肉や魚を触ったらしっかり手を洗う
- 調理していない肉や魚は他の食品と分け、密閉容器に入れたりラップをして保管
- 肉や魚専用の包丁とまな板を用意し、生で食べるものから離す
原則②「増やさない」(迅速・冷却)
- 調理後はすぐに食べる
- 食品は冷蔵庫に保管
- 食品を長時間室温で置かない
原則③「やっつける」(加熱処理)
- 食材はしっかり中心まで火を通す(75℃以上で1分以上)
- 使用後の器具は台所用殺菌剤や熱湯で消毒する
正しい手の洗い方
食中毒だけでなく、感染症予防には手洗いが不可欠です。正しい手の洗い方を身に着け、細菌やウイルスから自分の身を守りましょう!
手洗いの前に
- 爪は短く切っておきましょう
- 時計や指輪は外しておきましょう
- 流水でよく手をぬらした後、石けんをつけ、手のひらをよくこすります。
- 手の甲をのばすようにこすります。
- 指先・爪の間を念入りにこすります。
- 指の間を洗います。
- 親指と手のひらをねじり洗いします。
- 手首も忘れずに洗います。
石鹸で洗い終わったら、十分に水で流し、清潔なタオルやペーパータオルでよく拭き取って乾かします。
院長メッセージ
インフルエンザウイルスは冬がピークであることに対して、新型コロナウイルスは夏と冬の二峰性のピークを呈します。
今年も夏のピーク、つまり「第11波」が来たと考えることができます。実際の定点把握でも4週連続増加しており、これからお盆期間を迎えることから、今後も感染が拡大する恐れが懸念されています。咽頭痛、発熱など風邪症状が主で軽症者も多いことから医療機関を受診していない方も多くいるので、実数は定点把握数より多いと思われます。基本的な感染対策を心掛けて、楽しい夏休みを過ごしましょう。
記事監修
せんだい総合健診クリニック院長 石垣 洋子
1981年 聖マリアンナ医科大学 医学部卒業
1981年 同大腫瘍学教室
1986年 財団法人宮城県労働衛生医学協会
2003年 医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック
2004年 ソフィア健診クリニック院長
2010年 せんだい総合健診クリニック院長 現在に至る