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腰痛・肩こりは国民病です
厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査の概況」によると、病気やけがなどで自覚症状があると答えた人の具体的な症状として男女ともに1位が腰痛、2位が肩こりでした。腰痛は腰の特定部分に感じる局所的な痛みを始め、お尻や脚に広がる痛み、鋭い痛みや長時間続く鈍い痛みなど、症状はさまざまです。肩こりも同様に痛みの程度や場所は人によって異なり、ひどい場合は頭痛や吐き気を伴うこともあります。今月は、腰痛・肩こり予防のために日常生活で心掛けたいポイントを紹介します。
腰痛・肩こりの原因
腰・肩のこりや痛みの多くは、主に筋肉への過剰な負担による血行不良(筋肉疲労)が原因で起こります。筋肉は、普段動かさない部位を酷使したり、同じ部位を使い続けたりすると血液の循環が悪くなり、筋肉内に蓄積された疲労物質が神経を刺激して痛みが生じます。これを筋肉疲労といい、腰や肩の筋肉に疲労が生じると、腰痛・肩こりとなるのです。
負担をかける主な原因は、悪い姿勢・パソコン作業や運転などで長時間同じ姿勢でいることです。ストレス過多や睡眠不足、運動不足、全身の筋肉が緊張する寒さなども負担の一つになります。
予防する生活ポイント
腰痛・肩こりを予防するポイントの1つ目は「姿勢に気を付ける」ことです。
座り姿勢
- 椅子の座高は、足が床にしっかりつき、膝が直角に曲がる高さに調整する
- 作業時は、背もたれに寄りかかって腰を支えると負担を軽くできる
- 目線の高さにモニターの上端がくるようにモニターや机の高さを調整し、首の前傾を防ぐ
立ち姿勢
- 両足を肩幅に開き、膝を軽く曲げて腰への負担を分散する
- 肘が自然に曲がる高さに作業台を調整し、前かがみの状態での作業を避ける
2つ目は寝具選びです。寝ているときの姿勢の悪さも腰痛・肩こりの原因になります。
枕選びのポイント
- 頭が適度に沈む柔らかいもの
- 寝返りをしても頭が落ちない長さ(2つ並べても良い)
- 頭が持ち上がらない低さのもの(高すぎないもの)
痛みが強い場合は 受診を検討しよう
腰・肩の痛みがなかなか改善しない、慢性化して日常生活に大きな支障が出ている人は、医療機関の受診を検討しましょう。適切な治療やリハビリを受けることで、症状の改善が期待できます。腰痛は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症といった深刻な病気が隠れている場合があります。肩こりは、頭部や目、耳、鼻といった病気に伴って起こるケースもあります。自己判断で放置せず医師に相談しましょう。
- 椎間板ヘルニア
腰の背骨への衝撃をやわらげるクッションの役割をもつ椎間板が外側に飛び出し、神経を圧迫している状態 - 脊柱管狭窄症
背骨や椎間板、関節、靭帯などで囲まれた神経が通っている脊柱管が変形し、狭くなってしまう状態
職場でもできる! 腰痛・肩こり予防体操
腰や肩への負担は、スポーツや過酷な作業だけでなく「動かない」ことも大きな要因の一つです。意識的に体を動かすことが、腰痛・肩こり改善の第一歩。日々の暮らしにすぐに取り入れることができる、簡単な体操を紹介します。
腰痛編
踏ん張りランジ
- 足を腰幅に開き、背筋を伸ばして立つ
- 片足を大きく前に踏み出す
- 前足の膝を曲げ、太腿が床と平行になるまで腰を下ろす (後脚の膝は床ギリギリまで近づける)
- 前足の太腿に力を入れて、元の姿勢に戻る
- 左右交互に、片側10回を2~3セット行う
肩こり編
肩の上げ下げ
肩をすくめるように両肩を引き上げ、力を抜いてストンと肩を下す
背筋伸ばし
- 両手を組み、そのまま背筋を伸ばすように頭の上に両腕を伸ばす
- 数秒経ったら腕を下ろして力を抜く
院長メッセージ
日本国内における腰痛患者数は2800万人とも言われています。40代~60代で特に多く二人に一人が腰痛持ちであり、また、日本人の8割以上が生涯の中で一度は腰痛を経験することから、腰痛は国民病ともいわれています。男性では一位、女性では肩こりに次いで二位と日常的に皆が経験する疾患です。
特にコロナ禍において在宅ワークが主流になってきた昨今、長時間のデスクワークによる運動習慣の低下や座りっぱなしの生活環境により益々腰痛は深刻な問題となってきています。定期的なストレッチによる予防や、意識してブレイクタイムを取ることにより座りっぱなしからの脱皮を目指していきましょう。
記事監修
せんだい総合健診クリニック院長 石垣 洋子
1981年 聖マリアンナ医科大学 医学部卒業
1981年 同大腫瘍学教室
1986年 財団法人宮城県労働衛生医学協会
2003年 医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック
2004年 ソフィア健診クリニック院長
2010年 せんだい総合健診クリニック院長 現在に至る