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コラム

胃の不調・機能性ディスペプシアの原因と改善策

胃の不調に悩む人が増加

十二月十一日は、「いにいい」と読む語呂合わせから「胃腸の日」とされています。

この日を前に、胃の不調の正体と負担をやわらげる方法についてのセミナーが行われました。同セミナーでは、消化器のスペシャリストである三輪医師が、「新・国民病」と評される現代人が抱える胃の不調の現状と対策方法を解説しました。

今月は、「胃腸」に着目し、現代人が抱える問題や不調解消の方法について紹介します。

20代女性は72%

今年十一月に発表された調査では、胃の不調に悩む人が55・9%と、昨年より4・9ポイント上昇し、3年連続で前年を上回りました。最も多く胃の不調を感じているのは、20代の女性で72%でした。今や胃の不調は「新・国民病」と呼べるほどになっていると言えます。

医師を対象とした調査でも、約65%が胃の不調を訴える患者が増加していると回答しています。胃の不調は「機能性ディスペプシア」と言われ、がんや胃潰瘍など見てわかる異常がないにもかかわらず、慢性的に胃の不調が続く疾患で、日本における潜在的な患者は1000万人程度と推定されています。

「胃脳相関」が存在

最新の研究結果で「胃」は脳との関係が深いとされ、脳へ情報伝達する胃と脳のネットワーク「胃脳相関」の存在が近年注目されています。胃の不調は、胃の機能(胃酸の分泌、胃の運動、胃の知覚)の変調を感じることに起因します。そして、胃の機能をコントロールしているのが自律神経です。自律神経はもともと、自分を守り、生命を維持する神経で、不安や恐怖などのストレスによって敏感に影響を受けやすい特徴があります。

実際に胃の不調を訴えている人は、人間関係や仕事、経済的な部分に不安やストレスを感じている割合が高い、というデータも出てきています。

腸内細菌を育てる

自律神経の働きは薬剤では調整できず、それゆえ胃の不調に対する薬剤治療の効果は高くないと言われています。セミナーを開催した三輪医師は「生活習慣や食事の改善など、自律神経を安定させることが重要」と言います。自律神経を安定させるための方法を次のように示しました。

  1. 禁煙と適度な飲酒
  2. 十分な睡眠を確保する
  3. 適度な運動を行う
  4. 決まった時間に寝て起きて、決まった時間に食事を摂る
  5. 胃腸を活発にする食事(良い腸内細菌を育てる)

中でも⑤では食物繊維や発酵食品、乳酸菌などを摂ることを推奨しています。乳酸菌には胃の負担をやわらげる機能があり、習慣として食べることが大切です。

知っておこう! 機能性ディスペプシア

明らかな病気がないのに食後を中心に胃がもたれたり、みぞおちのあたりが痛むなどの症状を感じる場合があります。 「機能性ディスペプシア」と呼ばれる胃の不調について、解説します。

機能性ディスペプシアの原因や症状

胃の働きが低下すると食べ物をうまく運び出せなくなって「胃もたれ」が起こります。 また、胃の伸縮性が低下すると、食べ物が少し入ってきただけで満腹感を感じるようになります。

胃酸に対して胃が過剰に反応する内臓知覚過敏になっていると、「みぞおちの痛み」や「胸やけ」を感じます。

アルコール、喫煙、不眠やストレスがきっかけとなって発症することが多いのが特徴です。つらい症状があると、それがストレスとなってさらに症状を悪化させる悪循環に陥ってしまう場合があります。

胃の不調を改善する生活習慣

  • 気分転換を心掛ける
    趣味や運動などで自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
  • 食生活を見直す
    脂質や糖質、刺激物の摂りすぎは胃に負担をかけるので注意しましょう。
  • 十分な睡眠をとる
    体をリラックスさせる「副交感神経」が働く睡眠時は、心身の疲れを解消し、細胞の修復が行われる大切な時間です。

院長メッセージ

ようやくアフターコロナを迎えた今年、心身共に健康を取り戻したかと思いきや、なんと胃の不調を訴える人が増えたという調査結果が発表されました。その数はコロナ禍より増加傾向にあり、新たな国民病と言える状況です。

今年、胃の不調を訴えた人は若い世代ほど多く、今後日本人に増えていくと思われる疾患は「機能性ディスペプシア」であり、新・国民病と言われています。そもそも胃の不調はなぜ起こるのか。原因は人間関係や仕事、家計に関するストレスや食生活の乱れによることが多く、日本はストレス社会と言われ続けてきました。それに加えて昨今のパンデミックや国際情勢、経済状況の悪化で拍車がかかったというのが現状です。

胃酸の分泌や胃の運動などの機能は、自律神経が関与していて、同神経は不安や恐怖などのストレスに影響を受けやすいことが分かっており、自律神経を安定化するには、十分な睡眠時間を取り、運動をして、食事に気を配るといった日々の生活習慣が大切になってきます。年末年始の暴飲暴食にも気を付けて、自律神経の安定化を心掛けていきましょう。

記事監修

せんだい総合健診クリニック院長 石垣 洋子

1981年 聖マリアンナ医科大学 医学部卒業
1981年 同大腫瘍学教室
1986年 財団法人宮城県労働衛生医学協会
2003年 医療法人社団進興会エスエスサーティクリニック
2004年 ソフィア健診クリニック院長
2010年 せんだい総合健診クリニック院長 現在に至る

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